Monday, August 31, 2009

違法ドラッグの方が、、、

安いのでは?

昨日、生まれて始めて、とは言えないが、何十年ぶりに製薬を服用。

薬嫌いな私は今まで製薬は避けてこれた。風邪?ビタミンCと水分!下痢?水分。身体が悪いものを出そうとしているから、それを助けるだけでいいの!人間の体には科学で説明できない強烈なヒーリングパワーがあると信じてきた。その上、自分の健康に関してはかなり傲慢だった。

なのに、今年の健康診断で骨粗鬆症の結果が。しかも骨粗鬆症の気がある、というのではなく、正真正銘のヤツだ。
どうして?5年前検査した時は驚異の密度だったのに!(確かに今は計り方が変わっている。昔の数値はあまり信用できないのかもしれない。)

大好きなドクター・マーもちょっと驚いていた。
「まだ若いのにね。でも、体系が華奢だし、アジア系だから、しょうがないのかもね。ビスフォスフォネート治療を薦めるわ。いい結果が見られているからね。」

製薬?イヤだなぁ。でも、カルシュームとビタミンDのサプリメントは何十年も続けているし、ライフスタイルもアクティブなのに骨粗鬆が進んでいるから仕方なのかなぁ。ドクターも「肝臓には害がないし」と言っていたから、、、(肝臓に害のない製薬なんてあるもんか!)、、、長生きした祖母も90歳後半の時にはプチ・バアチャンだった。前回、来日した時、自分より大型の母が小型になっているのにもビックリ。私もそうなる運命なのだろう。でも、今から?それもイヤだ。

と、頭の中でウダウダ。

結局は虚栄心が勝つのだが、それにもムカつく自分。(別にいいじゃん、ミニチュア・ドッグになっても!)(どんどん小さくなり、そのうち消えてしまえばいいんだ!)

そんなムカつきを別の方向にシフトしてくれるのが製薬の値段だ。
「No way! うっそ〜〜〜〜」と薬剤師に思わず吠えてしまった。
アメリカ中の健康保険無し人間がみな感じる痛みだ。この目ん玉が飛び出る高さは一体なに?たったの4錠で140ドル?麻薬の方が安くない?

製薬に慣れていないと、服用するのに抵抗を感じてしまう。小さな、そしてとても高価な錠剤を手に、ロサンゼルスのコンドミニアムをウロウロする私だった。
「飲むべきか、やめるべきか、、、」ハムレットのように、錠剤を持った手を挙げながら、ブツブツ、ブツブツ。錠剤を口にするのは私にとって清水の舞台から飛び降りる思いだった。最終的には経済が勝ったのだか。

「もうその分、お金払っちゃったんだから、飲むしかないよ。」

もし、強烈な鬱の時に青酸カリを買ったとしたら、同じ論拠で飲んでしまうのだろうか。
時々、自分が怖い。

Thursday, August 20, 2009

中間報告

ゴーファーが勝っているようだ。
アケータへ行く前に牧場の一番奥の(その名も)オークハウスのマッケイン・パパから貰った黄色のマリゴールドもほとんど彼らに食われてしまった。植える場所を探すのが大変なくらいたくさんあったのに、今は4本くらいしか残っていない。そして春先は見込み大だったゴーファー退治装置も結局は高価でうるさい(そしてダサイ)ガーデンデコレーションになってしまった。取り除くかどうか悩んでいるところだ。(ああ、2本目、買わなきゃよかった。)

牧場入り口付近に住むJDは離婚後、出会いサイトでたくさ~~~~んの女性と「出会って」いるのだが、その一人(今週のお気に入り?)Kさんによるとチューインガムがいいらしい。ゴーファーが食べると体の中で固まり死んでしまうそうだ。(想像するのはやめよう。あまりにも残酷なので。)しかし、Kさんの話ではジューシーフルーツ味じゃないとダメだとか。

「夜中、庭に出たらたくさんのゴーファーたちがここでくちゃくちゃガム噛んでいたりしてね!」私が一生懸命(眉間にシワを寄せながらガムを丸めてはゴーファー穴に突っ込んでいるところを見てハーリーは笑う。「笑ってないで、手伝ってくれよ~」と言いいたかったが、どうしても声には出せなかった。(何故なのだろう?)

どうなることやら。

夏日はまだまだ続き、牧場の中を流れる小川もだんだん乾涸びてきた。それでも水を飲みに山から鹿や山猫、キツネなどが頻繁にやってくる。夕方は小川付近には行かないようにしないと。(別に山猫に食べられるから、というのではなく、単に自然と付き合うマナーとして。)

Monday, August 17, 2009

シェルター

チベットの難民救済に熱心な友人たち、中南米の貧しい地域で家の建築を手伝う友人、中年協力隊の一員としてナイジェリアで技術を教える友人などなど。なんだかとてもグラマラスで羨ましい。私も遠く、エキゾチックな地で人助けをしたい。普通、そうだよね。

ビッグドッグには“普通”がない。人類について話しているのを聞くと、なんて冷酷なヤツなんだろう、と思ってしまうこともある。
「人口が多すぎるから貧困があるんだ!人口を減らさないで、産児制限を語らないで貧困撲滅だと?バカげてる!」
「メキシコから来ようが、ミネソタから来ようが、どうでもいい。カリフォルニアは限界を超している!もう誰も来るな!」
「人間を救ってばかりいるから地球が滅びるんだ!」
動物保護、環境保護に熱心なビッグドッグにとって世界の悪はすべて人口増加が原因のようだ。

な!の!に!皆がもう呆れて、諦めてしまった友人たちには妙に優しい。道ばたで助けを求めるホームレス層にも。普通、誰もが遠ざかりたいような人たちはすすんで助ける。

というわけで、先週の月曜日、我々はサンルイス・オビスポの駅へ、ハーリーを迎えに行った。

ハーリーのことを簡単に説明すると:
*身長158、体重90の永久的独身男性。
*かっこ良く人気者のお兄さんがベトナム戦争へ送られた時、彼の愛車、55年型シボレーの鍵をハーリーに「俺が戻るまでかわいがってくれよ」といいながら渡すがお兄さんはベトナムから戻らない。そして車はそれから一度もドライブウェイから離れることはない。何十年も、お兄さんが別れた時と同じ場所に、同じ状態で置かれている。(そんな車だったが、今年の前半、お金がなくなり食べるものに困り、とうとう売ることになった。)
*お兄さんが亡くなってからはお母さんと二人暮らしだったが、そのお母さんも70年代後半に亡くなる。それからのハーリーの家はタイムカプセルのように止まってしまった。何も動いていない。モノは入るが、決して出て行かない。本や雑誌は「柱」としてどんどん延びる。家具は徐々に崩れていく。ホコリも溜まるだけだ。
*何かが壊れても直さない。まずトイレが漏れるようになり、使えなくなってしまう。(どうしていたのか、想像させないで!)今度は家の下で水漏れが発生し、家全体の水を止めなければならない。それも、そのままだ。(トイレも、風呂場もない!マジ、想像したくない!)
*数年前、クビになったが、かわりの職を探そうとしない。どんどん貯金はなくなる。車のローンが払えなく回収されてしまう。家の電気も止められ、暗闇の中での生活だ。昼間は図書館でホームレス層と遊んでいるようだ。
*現在の体重は55キロくらいに落ちている。ほとんど食べていないようだ。だけど家の中の本や雑誌やCDやアルバムの山を処分しようとしない。(「1冊1ドル、いや25セントで売ってもかなりの収入になると思うのに!」)

昔はクリスマスや感謝祭の時、ドッグファミリーは家族がいないハーリーも誘っていたが、トイレがなくなってからは誰も呼ばない。それどころか、避けてしまっている。そんなハーリーだが、ビッグドッグだけは何も変わらないように付き合っている。

「9月末から年金を貰えるからそれまでの我慢だ」と最後に会った時言っていたのでビッグドッグは牧場に誘った。
「迎えには行けないけど、いつでも牧場はウェルカムだよ」

ハーリーは別の友人からお金を借り、電車とバスを使ってサンルイスまでやってきた。

「さあ、持ってきた衣類、全部洗濯機の中に入れるんだ」ビッグドッグはむしり取るようにハーリーのバッグを取り上げた。「今着ているものもだ!臭すぎるよ。」
「本当?俺は幸い、鼻が鈍感なんだ」とハーリーは笑った。
幸い?誰にとって?
「そういうの、ありがたいことじゃないよ。」
「だからここにくる途中、話し相手、いなかったのかなぁ。」
私は洗濯部屋から逃げた。バッグから爆発する悪臭は魔物だったから。

ハーリーの衣類は3回も洗濯機を通った。トラックのシートカバーも。そしてビッグドッグは一生懸命、脱臭スプレーをトラック中シュッシュ、シュッシュまいた。

「まだ匂うね」4日後、トラックはまだハーリーの匂いがした。
「シートカバーも洗ったし、脱臭スプレーもしたし。もう何していいかわからないよ」ビッグドッグは途方に暮れていた。

毎日2回のシャワー、ちゃんと使えるトイレとオーガニックで新鮮な牧場の食べ物でハーリー自身の匂いは消えてきたが、友人や家族は今も何故ビッグドッグがハーリーを家に招いたか理解できないようだ。遠くから助けを求める者を救う方が簡単なのかもしれない。

予期しないところからまた修行の機会が与えられた。慈悲や思いやり、人間愛について考えさせられる機会が。
ハーリーの退屈な会話に付き合わされるのは辛いが、牧場ではダライラマのごとく受け入れるようにしている。

Tuesday, August 04, 2009

借りて来た、、、雄鶏?

一羽のニワトリは卵抱きたがり症候群にかかり、巣の上に何日も座ったままだった。
「移動しようとするとすごい勢いで怒るし、そんなに巣に付きたいのなら受精された卵にしてやろうと思っているんだけど」と住人ジョンが相談しにきた。「ローズ(正式に婚約しました!)のお母さんのルースターを借りる予定なんだ。」

先週の後半、問題のルースターが到着。小さく奇麗な雄鶏だ。足の先まで羽が生えていて、歩く姿はまさに歌舞伎役者。でも、行動からすると女形のようだ。玉三郎にちなんでビッグドッグと私は「玉ちゃん」と呼んでいる。

「借りて来た猫」は聞いたことがあるが、「借りて来たニワトリ」も同じなのだろうか?ルースター君はうんともすんとも音を発しない。コケコッコーどころか、コケもまだ聞いていない。(というのは嬉しいことだが。雄鶏と聞いた瞬間、ああ、安眠や、さらばじゃ、と想像していたから。)

ルースター君はジゴロとして役に立つのだろうか?おばさんたちに好かれるのだろうか?今のところ、彼女たちは彼のことを無視している。どうでもいいようだ。
ちゃんと雄鶏らしい声を出してくれるだろうか?またまたお楽しみに。

後ろの方でおびえているのが玉ちゃん。

Monday, August 03, 2009

ヘル・ウィーク

と言っても地獄の1週間ではなく、地獄の1週末でした。

週の前半は真夏の牧場を3週間も留守にした始末で大忙し。芝刈り、雑草取り、大きくなりすぎた苗の移動、注水システムの微調整など、畑や牧草地の手入れ。家の軒で休息するコウモリたちの追い退き、ゴーファーバトル(一匹ゲット。でも、ゴーファーの数からすると、一匹なんて屁でもない。)そして果樹を荒らすアリの退治。

個人的にはとても感心させられているのだ、このアリに。組織化のレベルも、頭の良さも普通の動物を遥かに超える。自分たちの食料になる蜜を分泌する虫を養殖するあたりなんか、尊敬したくなってしまう。アリのコロニーは何十キロにも渡る場合があるとか。そして、今年知ったことだが、アリをつぶすとテレビン油の匂いがする。(「え?今まで知らなかった?」とビッグドッグは驚くが、誰がつぶしたアリの匂いを嗅ぐんだよ?お前だけだろ。)

アリの「養殖所」にされてしまった果樹の葉は歪み、死んでいく。そのままだと果樹全体が死ぬ恐れもあるのだ。

「この粉末を樹のまわりにまくとアリは死ぬけど、気をつけてね。毒だから」と教えてくれたのは農場用品店の店員。「巣がどこにあるかわかれば、直接お湯を入れるのがベストだけどね。またはタングルフットを使うとか。」

ベタベタ水飴のようなタングルフット(商品名)を幹のまわりに塗ると、アリたちの通り道を塞げられるのだ。水性ではないので、手に付くと面倒だが、毒よりはマシ。

そして、とうとうヘル・ウィークエンド到来。

毎年、冬になると果樹などの刈り込みをやってきたが、切り取った枝などは牧場の隅っこに山積みにしていた。3年間も積んでいたら、山はぐんぐん大きくなり、数もどんどん増えてしまった。見かねた隣人は「焼けるように原っぱの中央までどかそうか?」とバケット掘削機を持って来てくれたのだが、焼くための許可にはいろいろ制限があり、限られた時期にしか与えられない。許可を獲得する前にその時期は終了してしまったが、枝などの山は原っぱの真ん中だ。

「ウッドチッパーを借りるしかないね」ということになったのだが、来客があったり、家族がやってきたり、注水システムを入れたり、留守の準備やアケータでの作業の準備などでどんどん後回しにされていた。しかし、もういい訳もなくなり、とうとうウッドチッパー・ウィークエンドがやってきた。

ウッドチッパーは枝をガリガリと砕いてくれる機械で、週末は1日レートで借りられる。だが、機械にはカウンターがあり、8時間の稼働時間が1日のレートとなる。1日で8時間は大変だ。でも、2日半の間の8時間なら、始めてやる作業でも大丈夫だろうという考えだった。

「月曜、9時までに返却すれば大丈夫だよ」というレンタル業者を後に、チッパーをトラックで牽引しながらガタガタと田舎道を牧場まで走った。
「8時間であの枝、全部砕けられるかなぁ」私は心配だった。
「オーバーしてもしょうがないよ。全部砕かないと。」

ウッドチッパーを使ったことがある日本人はかなり少ないと思うが、アメリカでも普通は業者がやることだ。効率的な機械だが、汚い、危険、そしてキツい仕事だ。(アメリカ人はそういう作業は違法移民に任せる。)

万が一、ウッドチッパーを自分でやろうと思っていたら、次のポイントをお忘れなく。

*稼働中は喧嘩をしないこと。(映画「ファーゴ」の最後の方のシーンを想像してください。)
*焦ると危険だ。「機械が稼働している間はどんどん枝を詰め込まないと!!」夢中に枝を機械に押し込んだり、抱えられる限りの小枝を投げ込んだりの連続だった。でもちょっとの不注意で手や腕、最悪の場合は命まで失ってしまった人もいる。200ドルが400ドルのレンタル料になっても体のパーツは失いたくない。
*長袖のシャツを着たいところだが、袖が枝に引っかかり、機械の中に引きずり込まれる恐れがあるので、禁物だ。
「猫と喧嘩していたみたい!」1日の終わりになるとお互いの腕は傷だらけ、アザだらけ。
*マスクと耳栓は必需品。途中で休憩するのでもシャワーが必要だ。腐り始めている枝もあり、空気は絶えずおがくず、土ぼこり、カビなどで充満。マスクをしていなかった我々の肺にはどんな菌がこびり付いているのだろう。色気はまったくないが、ほっかぶりもありがたい。

3日後、8つの大きな枝の山は5つのマルチの山になっていた。チッパーは丁度8時間と10分の稼働時間を記録していた。さあ、これからマルチの山をどうするか。納屋に持ち込み保存するか、それとも原っぱにまくか、はたまたそのまま更に3年積んだままにされるか?お楽しみに。