Wednesday, June 21, 2006

シャトーマルゴー 1985 (パリ、9区)


長い滞在だった日本も月曜日に離れ、現在はパリの友人、ベルナールが経営するカルチェ・ラタンのバーの奥の部屋にいる。なんともボヘミアン。彼は中庭を挟んだ向かいの小さなアパルトマンにいるのだが、日本の小さなアパート並みのサイズだ。4畳半くらいの居間に1畳のキッチン、2畳くらいのロフト。寝室は地下室にある。私と相棒、Big Dogがいるバーの奥の部屋はベルナールが日本料理屋を同じ場所でやっていたころキッチンだったそうだが、今はちょっと素敵なリビングに。キッチンを改造する時になんと何千年も前に掘られた井戸を発見。その井戸を修復(といっても、水はもう何百年も前からないのだが)インテリアの一部となっている。
カルチェ・ラタンはパリの中でも一番古い街だ。ローマ時代にはこのあたりだけが街としてあったそうだ。丘にあるパンテオンを中心に街が造られていたとか。どこも建物の底は考古学の宝庫なのかもしれない。
ベルナードも彼の友達もみんなこの井戸が自慢なのだ。博物館ものだからな。でも、日本人の私には少々無気味な要素も。
「ね、あの赤く流れているところは血じゃないよね?」
夜も井戸の中の明かりはつけっぱなし。でも、トイレ(バーの中にある)に行くには井戸の上を通らねば。プレキシグラスで覆われている井戸を跨ぐのはなんだか気が引けるので、できるだけ端をそっと通るようにしている。

最初の晩はベルナールの彼女、若い裁判官のジェラルディーヌに「今夜は友人の家に一緒に行くからね」と誘われた。日本にも行ったころがあるから、日本に長年住んでいた私たちに会いたくて、ということだったが、まんまと騙された。なんと、日本で仲良くしていたベルナールの従兄弟、フランソワの家だったのだ。
ベルナールは「特別の夜だから」と、とっておきの85年のシャトーマルゴーを持参。みんなきゃーきゃー、わーわー言いながら堪能したのだが、一番驚いたのはフランソワとマリーは11歳の息子にも注いでやったこと。まず、子供にワインを注ぐというのも日本人やアメリカ人には驚きだが、こんな高級なワインを?!そこがフレンチなのかも。「本当にいいものとは何か」というのは教育の一部として考えているのだろう。マリーは息子にまずワインの香りを嗅がせて、それからほんの少し口に含んで口全体で味を楽しむのだ、と教えていた。

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