Monday, August 03, 2009

ヘル・ウィーク

と言っても地獄の1週間ではなく、地獄の1週末でした。

週の前半は真夏の牧場を3週間も留守にした始末で大忙し。芝刈り、雑草取り、大きくなりすぎた苗の移動、注水システムの微調整など、畑や牧草地の手入れ。家の軒で休息するコウモリたちの追い退き、ゴーファーバトル(一匹ゲット。でも、ゴーファーの数からすると、一匹なんて屁でもない。)そして果樹を荒らすアリの退治。

個人的にはとても感心させられているのだ、このアリに。組織化のレベルも、頭の良さも普通の動物を遥かに超える。自分たちの食料になる蜜を分泌する虫を養殖するあたりなんか、尊敬したくなってしまう。アリのコロニーは何十キロにも渡る場合があるとか。そして、今年知ったことだが、アリをつぶすとテレビン油の匂いがする。(「え?今まで知らなかった?」とビッグドッグは驚くが、誰がつぶしたアリの匂いを嗅ぐんだよ?お前だけだろ。)

アリの「養殖所」にされてしまった果樹の葉は歪み、死んでいく。そのままだと果樹全体が死ぬ恐れもあるのだ。

「この粉末を樹のまわりにまくとアリは死ぬけど、気をつけてね。毒だから」と教えてくれたのは農場用品店の店員。「巣がどこにあるかわかれば、直接お湯を入れるのがベストだけどね。またはタングルフットを使うとか。」

ベタベタ水飴のようなタングルフット(商品名)を幹のまわりに塗ると、アリたちの通り道を塞げられるのだ。水性ではないので、手に付くと面倒だが、毒よりはマシ。

そして、とうとうヘル・ウィークエンド到来。

毎年、冬になると果樹などの刈り込みをやってきたが、切り取った枝などは牧場の隅っこに山積みにしていた。3年間も積んでいたら、山はぐんぐん大きくなり、数もどんどん増えてしまった。見かねた隣人は「焼けるように原っぱの中央までどかそうか?」とバケット掘削機を持って来てくれたのだが、焼くための許可にはいろいろ制限があり、限られた時期にしか与えられない。許可を獲得する前にその時期は終了してしまったが、枝などの山は原っぱの真ん中だ。

「ウッドチッパーを借りるしかないね」ということになったのだが、来客があったり、家族がやってきたり、注水システムを入れたり、留守の準備やアケータでの作業の準備などでどんどん後回しにされていた。しかし、もういい訳もなくなり、とうとうウッドチッパー・ウィークエンドがやってきた。

ウッドチッパーは枝をガリガリと砕いてくれる機械で、週末は1日レートで借りられる。だが、機械にはカウンターがあり、8時間の稼働時間が1日のレートとなる。1日で8時間は大変だ。でも、2日半の間の8時間なら、始めてやる作業でも大丈夫だろうという考えだった。

「月曜、9時までに返却すれば大丈夫だよ」というレンタル業者を後に、チッパーをトラックで牽引しながらガタガタと田舎道を牧場まで走った。
「8時間であの枝、全部砕けられるかなぁ」私は心配だった。
「オーバーしてもしょうがないよ。全部砕かないと。」

ウッドチッパーを使ったことがある日本人はかなり少ないと思うが、アメリカでも普通は業者がやることだ。効率的な機械だが、汚い、危険、そしてキツい仕事だ。(アメリカ人はそういう作業は違法移民に任せる。)

万が一、ウッドチッパーを自分でやろうと思っていたら、次のポイントをお忘れなく。

*稼働中は喧嘩をしないこと。(映画「ファーゴ」の最後の方のシーンを想像してください。)
*焦ると危険だ。「機械が稼働している間はどんどん枝を詰め込まないと!!」夢中に枝を機械に押し込んだり、抱えられる限りの小枝を投げ込んだりの連続だった。でもちょっとの不注意で手や腕、最悪の場合は命まで失ってしまった人もいる。200ドルが400ドルのレンタル料になっても体のパーツは失いたくない。
*長袖のシャツを着たいところだが、袖が枝に引っかかり、機械の中に引きずり込まれる恐れがあるので、禁物だ。
「猫と喧嘩していたみたい!」1日の終わりになるとお互いの腕は傷だらけ、アザだらけ。
*マスクと耳栓は必需品。途中で休憩するのでもシャワーが必要だ。腐り始めている枝もあり、空気は絶えずおがくず、土ぼこり、カビなどで充満。マスクをしていなかった我々の肺にはどんな菌がこびり付いているのだろう。色気はまったくないが、ほっかぶりもありがたい。

3日後、8つの大きな枝の山は5つのマルチの山になっていた。チッパーは丁度8時間と10分の稼働時間を記録していた。さあ、これからマルチの山をどうするか。納屋に持ち込み保存するか、それとも原っぱにまくか、はたまたそのまま更に3年積んだままにされるか?お楽しみに。

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