Saturday, July 01, 2006

アーメットへのオマージュ (モントリュー、スイス)

ジャズフェスは3つの会場でメインのコンサートが行われるのだが、他のフェスと違って、街全体が会場にもなっている。お金を払って観るコンサート以外にアーティストが行うワークショップ(去年はデビッド・サンボーンのサックス・ワークショップを体験したが、楽しいトークショーというカンジだった)無料のオープンエアーコンサート(ジャンルは様々)週末にはジャズミュージシャンを乗せた電車が山の方に向かったり、サンバやブルーズ音楽のボートが湖を回ったり。もちろん、バーやクラブでも有名/無名のミュージシャンやDJのライブが楽しめる。

一番小さな会場はカジノ・バリエール。ここではジャズライブが多く行われる。それからオールスタンディングのクラブ形式のマイルズ・デービス・ホール。そして一番大きなストラビンスキー・オーディトリアム。ホールとオーディトリアムはあまり見栄えのしないコンベンションセンターのようなビルの中にあり、カジノはそこから1ー2キロ離れたところにあるので、あっちもこっちもコンサートを、と思ってもかなり移動が大変だ。

しかし、100組以上のライブが行われる16日間。チョイスをするのも大変だ。もう2度と観られないかもしれないオーネット・コールマンのライブに行くか、長年観たかったヴァン・モリソンのライブに行くか。はたまた注目の新人、アダム・グリーンを覗いてみるか。(私はカジノでプレーしているヴァンにしてしまった。)このようにジャンルも豊富だ。ジャズ、ソウル、R&B、ブルース、ロック、ハードロック。ヘビーメタル、ヒップホップ、レゲエ、ブラジル、アフリカ、エレクトロニック、トランス、アンビエント・・・なんでもあるなのだ。

初日はアトランティック・レコードの創設者、アーメット・アーティガンへのトリビュートということでレス・マッキャンとソウル・サバイバーズ、ジョージ・デューク、ベンEキング、ソロマン・バークなどの50年代、60年代大活躍したアーティストたちの前半。ロバート・プラント、スティーブ・ウィンウッド、スティービー・ニックス、チャカ・カーン、ナイルズ・ロジャーズやキッド・ロックで構成される後半のショーが行われた。

アトランティックはソウルミュージック・レーベルとしてトップだっただけあって、前半は感動ものだった。特にソロモン・バークの声に圧巻!体も巨大だけど、声もハートも同じくらい大きな男だ。ベンEキングはもう高いノートは歌えないが、ソロモンは今も絶好調だ。だが、ほとんど歩けない彼はステージに上がる時も強烈に美しい娘たちに車いすを押されて出てくる。客には見えないように黒いカーテンの後ろで動いてくるのだが、もう少し演出を変えてもいいのでは、と思ってしまった。ソロモンはステージ上では王座のような椅子に座って歌うのだが、その椅子にキャスターをつければいいのにね。

後半はナイル・ロジャースがプロデュースしているので、ちょっと音は暑苦しくなってしまうのだが、スティーブ・ウィンウッドが歌う「ジョージア・オン・マイ・マインド」「キャント・ファインド・マイ・ウェイ・ホーム」には感動。当初はジミー・ペイジも現れるはずだったので、ロバート・プラントと一緒にゼップもやるのでは、と思っていた観客だが、ペイジは急きょ手術のためキャンセル。そしてプラントはゼップではなくハニードリッパーズ(わ〜、懐かしい!)のプラントに徹底した。チャカ・カーンも自分のではなく、アレサ・フランクリンの名曲を歌い、トリビュートコンサートっぽい選曲だったが、一番の驚きはキッド・ロック。

ステージに上がった時は観客もシ〜ンとしていて、どうなるのだろうと思ったが、最初のバラードで歌唱力をアピール、そして、スクラッチも単なるスクラッチではなく派手なパフォーマンスになり、さらにドラムやギターの腕前を見せつけ、彼のパートが終わるころにはおじいさん、おばあさんも大拍手だった。

最後はシックのセットで、ナイルやボーカルのシルバーに誘導され、観客は立ち上がり踊り始めたのだが、スイス人ってあまりリズム感がないのね。

その後が私には不思議だった。というか、最初から超アットホームなショーなのだが、最後に参加アーティストが勢ぞろいして「ウィー・アー・ファミリー」から始まり、アーメットが書いた歌を歌ったり、ラップしたり・・・で、それが延々と続くのだ。とてもルースでダラダラと。なんだか、本当にどこかの家族のイベントに迷いこんでしまったかのようだった。

その頃、ビッグドッグは楽屋で遊んで・・・ではなく、アーティストの楽屋顔を撮影していた。アトランティックの新人、パオロ・ヌティーニと話すキッド・ロック、写真撮影を全て拒否するロバート・プラント、ワイワイガヤガヤ同窓会ノリの楽屋風景。私はどうも楽屋が苦手だ。いや、意味があっているのはいいのだが、そうでないとストーカーのような気分になってしまう。でも、ライブ終了後、私も楽屋に連れられ、レス・マッキャンらのコメントを頂き、彼からチョコレートまで貰ってしまった。(チョコはスポンサーからアーティストへのプレゼントだったが体型を気にするミュージシャンはみんな他の人にあげていた。)

アパートに(チョコレートを持って!)帰った時はもう午前3時ころだった。

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