Wednesday, June 04, 2008

上肢静止不能症候群?

アメリカのテレビを見ていると信じられないほど処方薬のCMが流れる。薬局で普通に買える製薬ではなく、医者の処方箋が必要な製薬のCMだ。どれも「さあ、さっそく担当医に訊いてみよう!」のようなコメントが最後に明るくついているのだが、その後に早口で「副作用には…などがあります」と、いくつもの恐ろしい副作用があげられる。このようなCMばかり見ていると嫌でも病名に詳しくなる。

「あ、そうか。ビッグドッグに夜中蹴飛ばされるのは寝相が悪いのではなく、下肢静止不能症候群だからなのね」というふうに。でも、下肢静止不能症候群も寝相が悪いのも同じような気がするのだが。それに、そのために薬を飲み、肝臓に余計な負担をかけるのもどうなのだろう?一晩中蹴飛ばされっぱなしだったら、そりゃあ、薬をガンガン飲ませちゃうかもしれないけど。

でも、ビッグドッグが下肢静止不能症候群なら、私は上肢静止不能症候群。正確にいうと、静止不能なのは手だけなのだが。これは遺伝だと思う。祖母も手を止めてなんかいられなかった。薪で炊事洗濯、夫の商売の経営、子育て・・・昔の人は朝から晩まで働いていたが、それでも夜は縫い物をしたり、ほんとうに「暇」な時は古い着物の生地でお手玉などを作ったりしていた。母もいつも手は動きっぱなし。あまりにも動いているので、かすんでしか見えない時がほとんどだった。そして、私の手も止まってくれない。電話をしている間なんて、メモ用紙にビッチリ落書きしてしまう。円形や四角の連続だ。

だからか、祖母も母も私もデリケートでフェミニンな手ではない。ゴツゴツした骨張った手。血管が浮き上がった手。優雅に暮らす女性の手というよりは働き者の手だ。でも、そんな手でも私は大好きだ。いや、そんな手だからこそ好きなのだ。数週間の来日中にまた始めたかぎ針編みもそんな手静止不能症候群な私にはどんな処方箋よりいい薬。お陰で9時間のフライトも静かに過ごせて、太平洋を渡ったころにはかわいいポシェットの出来上がり!(写真は静止状態の母の手。超レア!)

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