Monday, December 01, 2008

ヒッチの立地条件

「Kたちに会いにいこうよ」
ここ数日、なんとなくアクティブになっている我々は20キロ北、ハイウェイとビーチの間のジャングルに住む友人たちを訪ねることにした。

大きな移動にはバスを利用している我々だが、40キロ以内ならヒッチハイクの方が便利だと前回のステイでわかった。ハリスコ州の人々はとてもフレンドリーで親切だし、どんなに小さな村や集落でも必ず入り口と出口にはトペ、速度を制御させるスピードバンプがあるからそこで待てばすぐに便乗できる。「わ~、拾ってあげたいけど急には止まれないからごめん~~~!」という言い訳もできないからね。

今回も例外ではなかった。60秒もたたないうちに中年夫婦のピックアップトラックの後ろでラマンサニヤに向かっていた。どうやら買い物の帰りのようでトラックの後ろにビールのケースやビニールの買い物袋などが。我々は買い物が飛び出さないように見守る男の子と一緒だった。

ビッグドッグは素早く運転台に近い角にしゃがんだので、私はスペアタイアの上に腰を下ろし、トラックの脇を片手で握った。荷台での移動は気持ちいいが恐い。山道は険しくカーブしまくる。レーンの幅も狭く、路肩がないところがほとんどで、その先はすぐ崖だ。想像力が逞しすぎる私はいつもトラックが崖に転落するところをイマージしてしまう。たぶん、勢いで木の枝に串刺しにされ、点火したガソリンでこんがり串焼きされてしまうのだろうな、なんて。さらに、乗せてくれるトラックの荷台にはガソリンらしきものが入った小さなポリタンクがあるのだ。どういうわけか、いつも。

もちろん、いつも想像だけで終わってしまい、無事目的地に到着するのだが、今回は目的地ではなく、ラマンサニヤに入ってしまった。

「逆になっちゃうなぁ。本当は20キロマーカーのところで降りて、ここまで歩いた方が帰りが楽だと思うんだけど・・・」とビッグドッグはボソボソ言うのだが、お腹が空いていた私は「でも、先に食事ができるからいいじゃない」と楽観視。

ラマンサニヤもこの4年間でかなり変わった。外国人の住民も増え、前は何もない崖に何件もの立派な住宅が建っている。海辺のレストランも昔から営業している海の家風のレストランに加え、外人たちが経営するおしゃれなビーチレストランも並ぶようになった。ビーチ沿いのココナツ林のテント、ハンモック、キャンピングカーも大きな家に変わってしまっている。

昔からある(でも少しデラックスになっていた)道ばたのレストランで魚フライの定食(ビッグドッグ)とセビーチェのトスターダ(バッドドッグ)を食べてから相変わらず素晴らしくもの寂しい浜辺を北に歩いた。どんなに町が変わっても海が変わらないのが嬉しい。

湾の北の方には小さなホテルとキャンプ場があるのだが、それ以外は一件のさびれたレストラン兼アバロッテ(メキシコ版コンビニ)だけだ。
「ここ、何もないね。」
暗闇の中には空っぽの棚がいくつもある。クーラーケースを覗いても何もない。
「ビールないじゃん」ビッグドッグは残念そうに言った。
「あ、あった!」
場違いに立派なコカコーラロゴの冷蔵ケースの中にはソフトドリンク類やヨーグルトと一緒に数本のビールが入っていた。コロナを2本取り出し、店の中で立ち飲みしながら、まわりをキョロキョロ。
「やっぱり肝心な物はちゃんとストックしているんだね。」
「下痢してなければね。」トイレットペーパーは見当たらなかった。

のどを潤した後はバナナ畑とパパイヤ畑の間の細道に入り、緑茂るジャンルへ。

「もし、長く住むんだったら、私も絶対こういうところがいいな。」
高くそびえるバニヤン、ココナツ、多彩なヤシの木、マンゴ、間を埋め尽くすバナナ、パパイヤ、いろんな蔓・・・人通りもなければ、何もない。静かでピースフルだ。

KとJが住む場所には数件の家があり、手入れがいきとどいたガーデンに囲まれている。今日は二人とも留守だった。
日が暮れ始めていたので、彼らを待たずにハイウェイの方に向かうことにした。

ビッグドッグが心配していた通り、ここではなかなか車が止まってくれない。信号もなければトペもない。皆、びゅんびゅん通り過ぎてしまう。大きなトラックなどが通る時には崖っぷちまで寄らないと危ない。(崖っぷちも十分に危ないのだが。)ビールを飲む間を除いて、何時間もノンストップで歩いていたのでさすがに疲れてきた。

「ラマンサニヤの入り口までいけば誰かしら拾ってくれるよ。じゃなければ、そのうちローカルバスが通るさ。最悪、20キロ歩けばいいし。不可能じゃないよ」と自分を励ましながら前に進むのだが1キロがどんどん長く感じるのだ。
「もう19キロのマーカーじゃない!」と明るく指差す私だが、心の中では「え?まだ1キロしかハイウェイを歩いていないの~?」とがっかり。
次のマーカーまでどのくらいかかるんだろう?
よたよた歩いていると、飲料水を運んでいるトラックが止まってくれた。

「グラシアス!グラシアス!」トラックの運転台によじ上りながらお礼した。
運転台は心地よいし、荒い運転が一般的なメキシコでは珍しく穏やかに運転するドライバーだった。

ということで本日の教訓:
メキシコでのヒッチハイクはイージーだが、立地条件を無視してはいけない。
まずはトペを確認しよう!

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