Wednesday, October 14, 2009

嵐の後

「今日はスペシャルな音楽を楽しみたい」だと?まったく、何を考えていたんだろう。あまりにも甘い自分を笑うしかない。
自然はそんな甘くないぞ。特に牧場のような場所では。

「スペシャルな音楽」はデス・メタル化し、我々は自然の巨大なギャグのネタにされてしまった。

「あの水の音は?」外からではないような、、、

まさか、、、

うっそ〜。


東側の高い窓の内側はなんと素敵な室内ウォーターフォールになっているではないか。窓の枠の上から漏れている。
タオルを置いてもすぐに水浸し。バケツを置けるような状況ではない。
「ネットで水の中でも使えるコーキング材があるか調べろ!」とビッグドッグがいうのでオフィスへ走るが、20世紀なみのダイアルアップでは何も調べられない。近所のハードウェア店に電話しても「タール以外、考えられないな」と言われ、二人で嵐の中、ホームデポ(大型DIY店)まで行ってみることにした。

普段は西からの風が強いロスオソス・バレー。昨日は東からがんがん吹いていた。海よりに傾いていた木々も久々に逆方向に押され、気持ちよかったのかも。

ホームデポにも(タール以外!)濡れている場所で使えるコーキング材なんて売っていなかったが、「完全に乾いてから使用」と書いていないモノを探し、牧場へ。帰り道、山の方に入ったところで倒れた木が車線を塞いでいる。山から落ちた岩も障害物となっている。

「ペリーグロ!デルンベス!」道路標識スパニッシュのみ達者になってしまった私は叫ぶ。

どうやって水漏れを塞いだのか、よくわからないが、嵐の中、オンボロの脚立を立て「この上には立たないでください」の注意書きを無視し窓の周りのひびを不思議なコーキング材で埋めた。やはり水分が多いと使えないらしく、私はグネグネしたジェル状のものをただ夢中で押し込んだ。幸い、室内滝は止まり、それに励まされ、今度は少しだけ漏れている寝室の窓を。

「牧場にいる時でよかったね。」
ビッグドッグは暖炉を点したので家の中はポカポカ、心地よい。
しかし、ほっと一息、、、という訳にはいかなかった。またまた水漏れ発見。今度はバスルームから外へ行くドアのところだ。

私はコンビニの安いビニールレインコートを羽織り、また外へ。(昔、フジロック・フェスティバルで買った二つのビニールコートのうちの一つだ。最初のは取材後、シンガーのライアン・アダムスにより可愛い手書きイラストが描かれ、2度と着れない。)でも、どういう訳か、今度はまったくダメだ。どんなにコーキング材を使っても水漏れは止まらない。仕方なくビニールシートをドアで挟み、その下にポリバケツを置くしかない。

「もう4インチだ!」果樹園の脇にある雨量計を注目していたビッグドッグは数時間おきに雨量を報告する。

夜になるともう雨量計も満タンだ。最終的に、我々のエリアは7インチ以上の雨量だったらしい。24時間以内で18センチくらいというのはかなりスゴい。

都会と違い、田舎の嵐はダイナミックだ。
「なんだかエキサイティングな1日だったね!」と寝ようとすると電話が鳴る。

「住人のジョンだけど、1階の外が洪水になっていてもう少しでドアのところに来ちゃう!」

真夜中で何も見えない。雨はまだがんがん降っている。どうしようもないので水を掃き出すため、幅の広いブラシを彼らに渡し、それ以上水位が上がらないことを祈るしかなかった。普段から不眠症の我々。これほどの騒ぎの後、眠れるはずがない、、、と思いきや、疲れていたのか、雨音の魔法にかかったのか、いつの間にか深い眠りについていた。

ほぼ6時間後、またまた電話が。隣の植木問屋のデビッドだった。
「道に車が止まっていて、道を塞いでいるんだけど、誰のかわかる?トラックが通れないんだけど。」
オークハウスのマッケイン・パパの愛車だったようだ。小川を渡ったところでエンストしてしまったらしい。


死んだ車はもうない。あちこちの木や枝も。
嵐の前は乾涸びていた小川はまだ激しく流れている。「凄いだろ!激流だぜ!」と自慢げに海の方へ走っている感じだ。

まだ雨はしとしと降っているが風はなくなり、穏やかが戻ってきた。

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