Tuesday, January 15, 2013

食の政治学

大好きでよく引用する書物の一つにM.F.K.フィッシャー女史の「アート・オブ・イーティング(食の美学)」がある。現代ほど食文化の研究がポピュラーになる前に書かれたエッセー集で食の美学、哲学、心理学、人類学、ロマン、そして快楽など多方面から「食」を捉えている本だ。だが、この中には食の政治について何も書かれていなかったと思う。

彼女の時代はまだ食産業だけでなく、企業そのものが政治力が今ほどなかったのかもしれない。

現在は資本主義がエスカレートし、企業主義が世界を制覇してしまっている。企業、そして彼らが操る政治にあまりにも我々は支配されているように感じてしまう。

ドロップアウトしてから、こういうことをよく考えるようになった。昔、自分がメディアで働いていたころ、どれほど自分もスポンサーや株主たちに支配されていたかを思い出すとなんだか恐くなる。

ある同僚C氏といつも「私たちは売女だから」なんて笑いながらギャラのいい仕事はなんでも引き受けていた。別の同僚はこういう行動を軽蔑視し、「僕はジャーナリストだから」とCMの仕事は一切断っていた(が、彼も再婚すると何故かCMなどに堂々と出演するようになっていたのだ!)でも、私から見たら、彼も私たちもみんな売女。スポンサーのお金で運営しているメディアには自主性なんてないのだ。

今は違う。とても解放された気分だ。幸せの自主生活だからとても大事にしている。独立は勝ち取り、守るべきものだ。特に企業支配下の米国では。(日本は「世間」が市民の行動の範囲を決めている感じだが、「自由」を尊重するアメリカでは「自由」の妄想を壊してはならない。本当は企業が国を支配しているのだが、「企業を支持しないのは反アメリカ的だ」と思わせているところがある。)

食産業の政治的権力は特にすごいと思う。なんだかやりたい放題。消費者より利益を重視。オバマ政権でさえ、食産業やバイオテク産業からの天下りがウヨウヨいる。自分で自分たちを守るしかない。そんな中、何を買って、どこで食べて、何をどうやって作るかはかなり政治的意味を持つようになってしまった。

自分で野菜を育て、製品化されたものを買うのを控えることは微々たる抵抗かもしれないが、一口づつの抵抗だ。この国で参政権がない私が唯一できることなのかも。

マイノリティだとやることなすこと全てに政治的意味がある。東京在住のレズビアンカップルが教えてくれた。ヘテロの人たちにとって恋愛は単に恋愛だが、主流から逸れると、、、何もかも政治的になってしまう。デモに参加しなくても。抗議にいかなくても。ニューヨークタイムズに大きな広告を載せなくても。普通に暮らそうとするだけでも。

今年から本格的に始めたノンGMOプロジェクト。2週目の報告です。

失敗

まずは失敗を告白。

牧場に戻る途中、ガソリンスタンドのとなりのバーガーキングに入った。ビッグドッグは寄り道が嫌いだ。目的地到着までどこにも止まりたくない。ガソリンは必要だったが、そこからマトモな食事ができるところを探すなんてあり得ない。実に久しぶりのファーストフードだが、お店にはトイレもあるし、、、二人ともフィッシュバーガーを食べた。何が入っているのか、考えないように食べた。

ビッグドッグは大の甘党だ。私は甘いものはちょいと苦手だが市販のスゥイーツはヤバすぎるので頻繁にお菓子を作っている。ところが先日、うっかりネスレのホワイト・チョコチップスを買ってしまった。オーノー!原料の中の大豆レシチンは完全にGMOだ。

さらに、数回、友人たち(全てが肉食系アメリカ男性)を夕食に招いたが、彼らはいつも大量に生肉持参でやってくる。(私に任せるとベジタリアンディナーになってしまうのを恐れているのだろう。)私もソーセージ(げげげ)、チキン少々、ステーキ数口食べてしまった。チキンとビーフも怪しいが、ソーセージは怪しいを通り越して不気味。

意外と簡単

オーガニックやノンGMOの材料を入手するのは簡単。GMOは加工品、製品化された食材に一番多いので、そういうものを使わなければいいのだ。インスタント系などに慣れている人たちには面倒かもしれないが、GMO以前に添加物の安全性を信じちゃいけない。

"Firm"はかなり硬い
嬉しいことにアメリカでメジャーな豆腐メーカー、日本のハウス食品の普通の(要するにオーガニックではない)豆腐も遺伝子組み換えされていない大豆から作られている。やった~!
そういえば、去年、キッコーマンUSAに彼らのお醤油について問い合わせたなぁ。残念ながら彼らのオーガニックではないお醤油は遺伝子組み換えの大豆も含まれているそうだ。がっかり。

もう一つ嬉しいことは量り売りされているオーガニック食材が思ったより安いこと。やっぱり加工されるほど値段は上がるのね。

値段は1ポンドの価格
 「自然食品店って何もかも高い」と思いがちなビッグドッグだが、オーガニック大豆は1キロ4ドルくらい。オーガニックコーンミール(トウモロコシ粉)は1キロ3ドル以下。今のところGMOの大半はトウモロコシと大豆なので、この2品目はオーガニックにこだわりたい。








そして実に楽しい

戦う農婦。戦う消費者。戦う料理人。戦ってばかり、、、ではないのだ。牧場にいるだけで毎日が楽しい。まだいろんな野菜が収穫できる。リンゴも最後の1本にまだ美味しいのがたくさんあった。

今年お初見のキノコ
そして冬場はキノコの季節。どこを見ても美味しそうなのがニョキニョキ。もっと勉強したら食べられるキノコも増えるはず。

 森や林から食材を集めるのも楽しいが、自分で作るのは食の政治学の中で最大の抵抗行為。本当の意味の独立を求めるとなると全部自分で作るしかないと思う。 それは遠い夢のような話かもしれないが、この時期、どんどん送られてくる種のカタログを見ながら夢見る私だ。毎年、少しづつその夢に近づいているのが励み。

鮮やかなオレンジ色はヤバいかな?
取りあえず、今は芽キャベツ、菜っ葉類、サラダ系、ニンジン、ネギや温室のピーマンなどで十分ハッピーだ。その他はファーマーズマーケットで補充し、さらにハッピー。






左のチャードも、上のルッコラも雑草



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