Monday, November 05, 2012

浜辺の日々


渡り鳥は今年も南に来ています。

今まではメキシコ中央のナビダード湾の漁村に滞在することが多かったが、その村は最初に訪れた2004年からかなり変わってしまった。

まず、メインの道が舗装され、その翌年、舗装が彫り上げられ下水が入れられた。中心のプラザもある年(何故か)リニューアルされ、次に訪れた時は教会の緑色のネオンの十字架より遥かに明るいコンビニが二軒もプラザの脇でギラついていた。少年たちは伝統的なバケーロ(カウボーイ)の服装からどこでも見かけるBボーイルックに、少女たちは皆ジェニファー・ロペスに変身。プラザを意味もなくぐるぐる回る巨大な黒いトラックからはランチェーラではなくヒップホップやレゲトンが流れるように。

長年ここに住んでいる日本人の友人、吾郎さんもいう。
「昔はみんな知り合いだったけど、今は誰も知らないよ。よそから来ている人ばかりだよ。」

よそ者のメキシコ人とよそ者の外人。昔のような親しみは消えているような気がする。社会の構造がかわると何もかも変わってしまう。いい方向へ、とは限らない。

でも、今年はその村から20キロ北のテナカティータ湾のもっともっと小さな村に来ている。肉があまりない肉屋が一軒。洗濯屋が一軒。いつ行っても閉まっている金物屋が一軒。(週末、通りがかったら開いていた!)薬局兼医療所が一軒。魚屋は一軒もない。魚介類は漁業組合が独占しているのだ。

その他の買い物はアバロッテという原始的なコンビニにある。なければ、他の町に行くしかない。

メキシコの田舎町のレストランはみな昼間しかやっていないのが常識だが、どの町も数件のタコス屋台が夜現れる。しかし、この村はたった2軒の屋台しかない。それも7時~9時までの営業だ。

そして住処は20年以上もビーチに置いてあるサビサビ、ボロボロのキャンピングカー。夜は蒸し暑く、虫も多い。

でも、最高だ。

夜は波の音が子守唄。夜空は星でキラキラ。長い、ほとんど無開発のビーチはココナツの木に縁取られ、海は底が見えるほど透明だ。人口が少ない村なので通りがかると皆挨拶を交わす。

我が家はビーチと巨大クロコダイルが生息するマングローブ沼に挟まれているから虫が多いのはしょうがない。ビッグドッグは蒸し暑く寝苦しい夜に少々参っているようだが、私にはこの浜辺の日々がいい感じにフィットしている。

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