Friday, August 03, 2007

インスタントファミリー

牧場は桃の季節まっただ中!桃を食べ過ぎて体を壊すことは可能なのだろうか?それくらい毎日食べまくっている。頭の中では90年代中旬に流行ったプレジデンツ・オブ・ジ・ユナイテッド・ステイツ・オブ・アメリカの「ピーチズ」がリピートしている。
"Going to the country, gonna eat a lot of peaches..."

ロードトリップ記の続きはこちら:


インスタントファミリー

「女性と違って男は子供が生まれても本当に自分の子供かどうかわからないからかわいそう」と大昔誰かが言っていたなぁ。今はDNA検査というのがあるから簡単に(でもない?)わかるけど、それでも子供(または母親)が名乗らない限りどこにどれだけ自分の子孫がいるかわからない。

ビッグドッグだってそうだ。世界中に大勢の子供が元気に生きているのかもしれない。

15、6年前、まだ東京で働きまくっていたころ、彼の親友から国際電話がかかってきた。
「座っているかい?」と親友は訊く。
「何だ?」
「マイクG覚えているだろ?」
「ああ、よく遊んだなぁ」
マイクは70年代ビッグドッグの仲間の一人だった。
「彼の妹覚えている?」
「ああ。俺たちとよくパーティしたね。」
「彼女の娘だという女性から連絡があって君が父親だと言っているんだ。」
「……」
「もしもし?」

70年代、ヒッピームーブメントの真っ盛りの一晩。その結果がWだったのだ。マイクの妹はまだ高校生(「そんなに若いなんて知らなかったんだよ!マイクもマイクじゃないか。俺に一言いってくれれば、妹に手は出さなかったのに」とBDは今でもいう)子供を生むと、即養子に出してしまった。それから20年がたち、Wも大人になり、結婚し、初の子供で妊娠すると医者にいろいろ遺伝系の質問にあうのだが、答えられなく実の親を探すことに。母親は比較的簡単に見つけられたが当時は国外にいたBDにはなかなかたどり着けなかった。

それから少しの間はお互い手紙を交換したり、時々電話で話したりしていたが、Wも結婚を繰り返し、4人の子供を育てている間にまたコンタクトを失ってしまった。3年くらい前だろうか、ある友人経由で父と娘は再び連絡しあうようになったのは。

私はあまり血縁関係にこだわりを持たない。養子だったら育ての親が実の親だ。生物学的な親を「実の親」というのもなんだかヘンだと思う。ファミリーってそういうものではないんじゃないの?

だが、ビッグドッグにとって血のつながりはとても重要。で、前から彼はWに会いたかったが、なかなかアイダホまでいくチャンスがない。そりゃそうだろう。アイダホって特別な用件がない限り、あまり訪れない場所だから。

ビッグドッグにとってアイダホまでの道のりは長く遠かったに違いない。地理的にだけでなく、精神的にも。しかし、延々と続くネバダの砂漠を超え、10日にはとうとうアイダホの州都、ボイジにたどり着いてしまった。Wが住むメリディアンはボイジの郊外、車で20分くらいのところだ。住宅街には手入れが行き届いた家が並んでいる。

Wの家の前にはバナナ色のおんぼろバンが止まっていた。彼女の家もまわりとは変わらない奇麗な家だが、玄関にある巨大なバラの木には枯れたバラがいっぱい。忙しいシングルマザーにとってガーデニングなんて贅沢なのだろう。

家の中は少々殺風景だった。
「まだ引っ越しの荷物も全部整理できていないの」とWは申し訳なさそうに私たちにいう。最近、隣町から引っ越したばかりらしい。

最初の晩はWと彼女の子供たちと一緒に食事するだけだった。16歳のHはロック少女。BDがロックビデオなどを撮影したと知ってか、ビンテージのストーンズベロマークTシャツを着ていた。長男はやんちゃで落ち着きのない12歳のS。その下が超スィートな7歳のF、そして宇宙からやってきたような3歳児C。経済的には大変だろうが、みんなお互いを労りあって生きているのが伝わり、微笑ましかった。これなら、どういう境遇にあっても大丈夫!

次の日は1日彼らと過ごし、夕方には近くのウォーターパークに全員連れていくことに。子供たちも私たちに慣れ、FとSは一瞬も離れようとしない。特にFはBDと私と手を繋いだり、ウォータースライドが恐い振りをして抱きついたり、人なつっこさで私たちを魅了した。

「グランパ!!グランマ!!」大声で私たちのことをおじいちゃん、おばあちゃんと呼ぶのもなんだかかわいい。
「でもさ、そんな大声で私のことをグランマと呼ばなくてもいいんだよ」と笑ってしまった。私とは血のつながりも何もない彼らだが、私もこのインスタントファミリーが好きになってしまった。

2 Comments:

Blogger Unknown said...

なんて心温まるエピソードだったこと!

不思議とある年齢になると家族との縁などに

ついて考えたり、思ったりすることが

訪れるんだよね。

血は繋がってなくても心を繋ぐことが可能

だから嬉しいご縁が頂けて良かった、良かっ

た。

8:59 AM  
Blogger bad-dog said...

コメントありがとうございます。
いろんな形の家族があるのは素敵なことですよね。
血縁関係のみならず。

10:41 AM  

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