Sunday, June 24, 2007

ここは何処?

ビッグドッグは「根を下ろす」ことを恐れているのだろう。「僕たちは家は何軒もあるけど、住処はない」とよく人にいう。その通りだ。彼は若い頃から不動産を収集するのが趣味だったようだ。他が時計やレコード、電車の模型、高級車などのコレクションを集めるように彼は不動産を集めてきた。そのためにも学生の頃から働きまくり、ケチケチ生活でがんばっているのだ。北カリフォルニアの数件の物件、ロスのコンドミニアム、そしてこの牧場・・・比較的安く手に入れたものから、かなりがんばってゲットしたものまで、いろいろ。

だが、そのいずれかを「住処」にするというのはなかなかできない。家具などの生活必需品を入れられないのだ。これには何か精神的なバリアがあるみたいだ。私が「オフィシャルな手続き」というのが苦手のように。私は東京で何度引っ越しても住民票は実家から移していないし、「大人」を証明するような行為(入籍、不動産や車などの所有、子づくり(!)など)も避けてきた。

牧場の家も同居人の家具などしかない。
「家具などはどうでもいいけど、もっと自分の家っぽくしようよ」と提案すると必ず「それより先にやらなくちゃいけないことがあるじゃないか」と返し、「やらなければならないこと」を探す。策の修理、納屋に電気を入れる、芝生を復活させる。やることは限りなくあるから参ってしまう。

管理人が戻らないと決まってから、馬たちと冬場を牧場で凌いでいた友人のJDは本格的に引っ越しているのだが、彼はまず部屋を自分のテイストに改造。壁の色を変えたり、羽目板を入れたり、照明を変えたり・・・かなりのお金を使っている。そして昨日、サンフランシスコから戻ってくると、なんとトラックには新しい家具、絵画、キッチン用品が山積みに。

これが普通なのかも。たった1年の滞在かもしれないけど、その12か月を心地よく過ごすために努力する。ちゃんと自分の「住処」を作る。

それができない我々は今も「ホームレス」でどこにいても誰かの住処を“借りている”気分だ。だからか、夜中に目が覚めるとよく「ここは何処だっけ?」となかなかわからない。牧場?ロス?ランキャスター?ハワイ?メキシコ?パリ?アケータ?東京?でも、どこにもホームがなければ、どこでもホームなのかもしれない。それはそれでいいのかもしれない。

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