Wednesday, May 01, 2013

D.C. クール

私にとってワシントンDCは2度目、30数年ぶりだった。記念碑、記念館、霊園などを訪れているうちにわかってきた。ここはアメリカの聖なる場だということが。これら建物こそ合衆国の寺院だ。ローマやギリシャ時代の寺院、ヨーロッパの大聖堂などの様式を借りているのも単なる美意識からではない。 

アメリカという国はユートピアの理想から生まれた。この国の偉大さ、そして国のエッセンスは高尚なる賢人たちが考えた理想に基づいている。どの理想もノーブルでピュアだ。マーティン・ルーサー・キング牧師の“夢”、フランクリン・ルーズベルト大統領の“同情”、トーマス・ジェファーソンの“自由”、ジョージ・ワシントンの“独立”、エーブラハム・リンカーンの“平等”、、、この国の「心」は心ではなく、頭にあるのだ。それが理想と現実のギャップを生んでいるのかもしれない。労働者に深い同情を持っていたルーズベルトは第二次世界大戦中、何千もの日系アメリカ人を収容所に強制送還した。キング牧師は演説中暗殺され、人種間の闘争も同じ時代に爆発した。貧しい民はいつも社会の奴隷だ。 

日本のアイデンティティは何千年の間、徐々に築かれた。人間が築いたアイデンティティではなく、日本という郷土と共に、自然と共に育ったアイデンティティだ。原始の時代から変化し、シフトし、どんどんと変わりながら、今も変わりながら存在するアイデンティティとアメリカのとはまったく異なる。だから言葉にはできない「何か」なのだろう。何度もよそ者に征服され変わる国もある。彼らのアイデンティティもアメリカのとは違う。 

そんなことを考えながら、大勢の「お宮参り」をするアメリカ人観光客を眺めていた。 

しかし、DCは単なる聖なるスポットではない。ダイナミックで活気のあるアメリカの主都だ。プロフェッショナルだけどフレンドリーな街だ。そしてクールな要素が沢山ある。 

DCクール、その1:みんな政治に強い。さすが主都。タクシーの運転手もコンビニのレジ係も、どんな職業の人でも政治の話題には強い。我々の運転手もそうだ。私より遥かに政治や経済のことを知っていた。
ホワイトハウスの前で何十年も抗議している反核アクティビスト
DCクール、その2:ペディキャブ!人力車は発展途上国のみのモノではないのだ。超エコでしょ。自転車タクシーは最高。東京にも出現させて欲しい。

DCクール、その3:キツネ!信じられない。朝鮮戦争記念碑の裏っかわの林の中でお母さんキツネが3匹の子ギツネを育てている。いや~ん、超かわいい。そして群がる観光客なんて気にせず、こんなアーバンな公園の中で暮らしている。Coooool!

DCクール、その4:かっこいい黒人たち。こんなにかっこいい黒人たちがこんなに多い都市、初めて。映画の街、ハリウッドはビューティフルピープルのゾーンだと信じている人も多いかもしれないが、そんなのウソ。DCこそビューティフルブラックピープルのゾーンだ。どの人も、どの人もデンゼル・ワシントンやアンジェラ・バセット並み。スタイルもいいし、センスもいいし、身のこなし方もかっこいい。

DCクール、その5:植物園と温室。わお!わお!わお!美しい鉄細工の温室といい、その中の各セクションといい、無料レクチャーやワークショップといい、DCに住んでいたら入り浸っているだろう。もっと大きな植物園はあちこちあるか、こんなにチャーミングなのは他にはないのでは?

DCクール、その6:ダウンタウンのビル街の歩道の脇。木を囲む小さな芝生のコーナーにはなんとお母さんアヒルが卵を温めている。東京の有楽町の鴨のように、ビル街の中に巣を作ったアヒルだ。お母さんアヒルのために水とエサを置いているのはどこかのOLかサラリーマンなのだろうか?クール、そしてクレイジー!

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