Sunday, April 05, 2009

戦う農婦

日本の田舎にも生息するのだろうか?アメリカ大陸では有害動物の一種であるゴーファー。
一見、モルモットのような「可愛い小動物」だが、地面に数々のトンネルを掘り、植物の根などを食料としているため、きれいなお庭や生産的な農園の敵なのだ。

実は、ゴーファーと縁のなかった私は牧場にやってきたころ、家の周りや果樹園の中の20センチくらいのもっこりとした土の山を見て「あれ、なんだろう?」としか思わなかった。まさか、恐怖のゴーファー山だとは!都会人はほんとうに無知なんだから!

で、ゴーファーのトンネルから持ち運ばれた土だとわかっても、気にしなかった。気にするどころか「大脱走」のシーンを想像してニヤニヤしていた。
そして、毎年、小さなサクラの木など、いくつかの植物が犠牲になっても、それでも気にしなかった。
「目の前で花が地面の中に消えていくんだよ!」とビッグドッグが友人たちにゴーファーの仕業を説明しても、住人のサラが「また一本茄子もって行かれちゃった」と嘆いても(根っこごともっていってしまったのだ)、別の住人ジョンが「かぼちゃの成長が止まったからヘンだと思っていたら、下からゴーファーにくり抜かれていたよ!」と驚いても、気にしまかった。

しかし、今年は違う。気にしないうちに急増していたようだ。
とうとう私もゴーファー戦争に参入。

まず、友人から頂いたゴーファー退治用ペレット(小さなプラスチックの筒にニンニクのエッセンスが入っているらしい)をトライ。「ゴーファーのトンネルに入れるだけ」という通販グッズだ。でも、こんなもんじゃゴーファーはびくともしない。
「へっ。何だよ、これ」というカンジに簡単に除かれてしまった。次の朝、さらに増えているゴーファー山の中には土と一緒にペレットが。

ゴーファー取り装置も使った。
これはねずみ取りと同様、捕まえたらどうする、という問題もある。
「わ〜!一匹、捕まった!・・・あ、でも足だけが引っかかっていてまだ生きているよ〜〜〜〜」
ビッグドッグに処分をまかせる。というか、押し付ける。
彼はゴーファー取り装置と一緒にバケツに入れ、原っぱまでもっていき、ライフルで殺した。なんだか大げさで残酷でイヤな気分だが、自分で処分できない私には文句をいう権利がない。

私より遥か前にゴーファー戦争に参入しているビッグドッグのお気に入り武器はなんといってもライフルだ。さすがアメリカ人。日本人の私がもつような銃に対する偏見はない。ライフル一発で殺した方が人道的なのかもしれないし、ゴーファーは素早いので彼らの方にオッズが向いている。しかも、住処を作ることに集中しているゴーファーは銃弾が飛び交う中でも平気で何度も穴から頭をだし、土を運び出すのだ。そんな大胆不敵な姿には感心させられるのみだ!

一日の仕事が終わるとビッグドッグはライフルを持ち出し、モグラたたきのゲームのように庭にあるいくつものゴーファー穴を目がけているのだ。
「親父のショットガンがあれば、確率は上がるんだけどな」といいながら。命中すると雄叫びをあげ騒ぐのだが、そんなビッグドッグを見ていると「人間くさい、というのは実は動物くさいということなんだ」と妙に納得してしまう。

私はひたすら嫌がらせキャンペーンを実施している。毎日、朝夕、ニンニクを彼らのトンネルに突っ込むのだ。ニンニクは殺しはしないが、嫌いな匂いらしい。庭や農園や果樹園から消えてくれればそれでいいのだ。でも、人間だってグルメなバイキングからレタスだけのサラダバーにはいかないよね、よほどのことがない限り。(グルメなバイキングがオナラ臭で充満していたらサラダバーの方にいく?私のニンニク攻撃もそんなレベルだが。)

去年、ジョンはゴーファートンネルにブタンガスを吹き込み、爆発させたが、ゴーファーはまたすぐに別のトンネルを掘る。近所の農園では毒を使っているらしいが、我々はそんな毒を井戸水に浸透させたくないので禁止している。

最新兵器はゴーファーを混乱させる(と主張する)音をたてる装置だ。完全に退治できるのに3週間かかるそうだ。
現在は一時牧場を離れているのだが、留守の間、この新兵器が活躍していくれているのだろうか?何故かあまり自信がない。