Monday, July 27, 2009

一握りの幸せ

町も、人間も、環境も最高だったけど、あの天候には参りました。

ということで、我々はアケータを10日遅れでやっと木曜日に出発。
「これで7月だよ!」と連発し、お互いを退屈させてしまった3週間余だったが、これは記録的な寒さだったようだ。フリースが欠かせない7月なんて初体験!

出発間際に観戦した地元野球チーム、ハンボルト・クラブ(蟹!)の試合もVIPエリアでの観戦だったし、エリア内にはバーベキューのケータリングなどが入り、かなりの盛り上がりだったのだが、あまりの寒さでダブルヘッダーの最初の試合でギブアップ。ナイターってもっと暖かい時にやらなきゃ!

寒さと雨に付きまとわれる呪いだったのか、牧場へ戻る途中のサンフランシスコでの一泊も死にそうに寒く、フルに楽しめなかった感じだ。

一方、中央カリフォルニアは例年通りの素晴らしいお天気。今年はアプリコットもまだ樹に残っているし、桃やネクタリンやプラムもあと少しで完熟。太陽の下でもぎ取ったばかりの桃を丸かじり。幸せ一握り。幸せ一かじり。

Sunday, July 19, 2009

やって来た〜!


7月のアケータはオレンジ色!あちこちの庭は「レッドホット」のニックネームで呼ばれる花でサンセットカラーに染まります。このグラデーション、大好き!

ミラベルプラムの季節はほんの一瞬。一斉に熟し、すぐ木から落ちてしまいます。短い季節だからか、余計においしいのかも。

Sunday, July 12, 2009

ここです!

ネット環境がまともな間にアップします!



グリーンだから好き!


アジサイと家の色をコーディネート


ビクトリアンスタイルの家屋たち








何故かクモが多いのだ


ちょっと町を出ると、、、


協力的なモデルは嬉しい






ファンキーなポスト


ガスある?

Sunday, July 05, 2009

何故アケータに惹かれるか

東京で仕事に縛られていた時も何度かアケータを訪れている。(もちろん、これも仕事で。仕事以外の人生はなかったので。)その頃はそれまで訪れたどの町よりも小さく感じ、「なんて可愛く、チャーミングな町なんだろう」と感動。牧場で暮らすようになってからはアケータに来るとなんとなく「都会」に来た感じがする。大都会ではないが、都会っぽい活気があり、牧場とは別の楽しさ満載だ。

21世紀並みのインターネット環境も嬉しいが、それ以上に私を魅了する理由がたくさんある。

* ヒッピーセンターであること
元々のフラワーチルドレンは年をとり、中には「大人」になってしまった人たちもいるが、たえず新しい世代のヒッピーたちがユートピアを求めやってくる。だからか、アケータはアメリカ一の左翼的町かもしれない。

* 巨大チェーンやフランチャイズビジネスはウェルカムではない
昔からの住民には複雑な問題で、中には「だからいつまでもショボクレタ町なんだよ」とか「大手が来れば沢山の職が生まれるのに」というが大半は大手嫌いなのだ。
個人商店や個人企業、個人サービス業はとてもウェルカム。だけど、例えば、マクドナルドが店を開けば、誰かが放火してしまう。(それでも、また数年後トライし、また放火され、3回くらい試してみるマックもスゴい。最終的には住民の勝ちだったが。)(実際、町の外れ、ハイウェイ沿いには1件マックがあります。でも、通りすがりのドライバーしか寄らないのでは?アケータにはV&Nという地元の老舗ファストフード店とスターズという比較的新しめのバーガー屋があるから。)スタバもなければウォールマートもない。実に清々しい。(そしてタイムトリッピー!)

* コミュニティ志向の住民
ビッグビジネスは嫌いでもローカルビジネスは大好き。ローカル商品が高くても、少ない収入をそっちに向けるところなんて涙もの。だからか、小さな町のわりにはローカルビジネスがたくさんある。

* みなクリエイティブだ
長い、長い雨期のお陰でアーティスト人口も他より多い。素晴らしいアーティストがいっぱいいる。東京で活動していれば「話題のアーティスト」になれるくらい優秀なアーティストがカーステレオ業者だったり、靴のセールスをやっていたり。普通の人々も手芸やアートをやるので、小さな町にしてはシャレた生地屋さんや毛糸屋さんがあるし、ビーズショップは何件も。地元アーティストの作品を扱うギャラリーも多いし、地元職人のガラス細工やジュエリーを売る店も多い。

* 本当に不景気ではないのかも
ビッグビジネスを受け入れたくない町なので、失業者も多い。だけど、本当に収入がまったくないという人口はどのくらいなのだろう?ハンボルト群はカリフォルニア州では医薬として認められているマリワナで有名だ。連邦政府的には認められていないので、モグリの生産者だらけで、統計には加入されないし、課税されない。(もったいない!ちゃんと100%合法化され、課税されれば、どんなに収入が入るのだろう!ハンボルトカウンティは急にカリフォルニア一裕福なカウンティになるはずだ。)

* 消費主義は罪悪だ
ボロボロの車、ボロボロの衣類なんてあまり前。消費主義を嫌うこの町のモットーはまさにrecycle-reduce-reuse。大きなSUVは恥ずかしい。派手な買い物もみっともない。ビッグドッグも私も、ここにいるとまったくノーマルだ。

*とても、とてもグリーンだ
あらゆる意味で。米国では最初にグリーン党の市議会が選ばれた町だけでなく、最初に(同時多発テロ事件後に可決された)米国愛国者法を破棄した町だ。それ以外に、過剰にエコなところもそうだし、町を囲む森林からもそうだ。GMOも禁止されているし、環境保護グループの一番過激な組織もここを本拠地としている。

* 若い
住民の30%以上は18~24歳、中間年齢は26歳。市議会には学生の議員がいることも多々ある(現在も一人は大学生だ。)実際の年齢もそうだが、精神年齢も若い!数年前、母が訪れた時、町の「年齢不詳、というか白髪キッズ」にビックリ。「何歳かわからないけど、しわくちゃ白髪ジイさんがスケボに乗っているのよ~」と笑いっぱなしだった。

* 地元の野球チームはハンボルトクラブ
そう。蟹だ。あまり強そうなネーミングではない。美味しそうな名前だ。でも、1945年から毎シーズン欠かさずプレーしているアメリカ唯一のセミプロチームだ。

* 中心がある
アメリカでは今やとても珍しい存在だ。ラテンの国々では一般的だが、アケータもメキシコのソカロのような中心プラザがあり、賑やかな場所だ。土曜日のファーマーズマーケット、春のオイスター祭り、春から秋にかけてのいくつものお祭りなどなど。何もない時も学生や無職(&たぶんホームレス)なヒッピー達が観光客と一緒に和んでいる。

Thursday, July 02, 2009

レッドウッドカーテンの向こう側

夕食会、送別会、オーストラリアからの来客、そして注水システムのオートメーション化などで大忙しの一週間が終わり、最高に気持ちいい夏日を後に中央カリフォルニアの牧場から北上。神秘的な霧に包まれたハンボルトに到着。

カリフォルニアの最北端は「忘れられた国」でもある。南カリフォルニアの人たちに「北カリフォルニア」というとみんなサンフランシスコを想像するようだが、さらに北、ソノマやナパのワインカントリーのもっと北、メンドシーノ・カウンティの中央より北はレッドウッドの森林のカーテンにより少々孤立された地域だ。

特に今いるアケータは特別な町だと思う。可愛いビクトリアンスタイルの町並み、カラフルな住民、自然の大聖堂のようなレッドウッドの森林。そして何といっても不思議な時間軸。21世紀のネット環境(ありがとう!)と60年代社会が共存しているのだ。

数年前、アケータに到着したその日、ダウンタウンの交差点で停止していると年配のヒッピーが我々のトラックの前に立ち止まり、ガラスのパイプを子供が飛行機を“飛ばす”ようにボンネットの上に飛ばした。
「アケータへようこそ!」
ビッグドッグと笑ったのを覚えている。

今回はそんな素敵なウェルカムはなかったが、男性ファッションの進化に感心させられている。以前はドレッドロックとネルシャツが主流だったが、最近はとてもクリエイティブになっているようだ。ヒラヒラした黒いロングスカート姿のおじさん、キルトとパンク風の革ジャンスタイルの年配ロッカー、眉の上に奇麗な点をタトゥーした男などなど。なかなか楽しい。

でも、それだけではないのだ。やはり“移動”するのはいいことだ。牧場は私にとって楽園だが、あまり長くいるとなんだかブルジョワっぽくなっている自分が気になる。過保護になってしまうようだ。悟りへの道が逆行してしまう。

「君たちは本当にミニマルだよ」と観察したのは途中のサンフランシスコで合流したビッグドッグの高校時代の友人。
「ミニマル以上よ!ゼンよ!」彼のワイフも笑う。
確かに我々はあまり「モノ」を所有していない。だが、私は土地に対する深い執着がある。所有権って偽りなのにね。時間だって、命だって、すべて借り物だから。所有していると信じるから不幸になるのだと思う。

そういえば、ハワイで取材したスラックキーの天才、マカナも言っていた。「アクセスは所有権を勝る」

そうだよな。だから”手放す”ことは精神にいいのだ。
空っぽの家でスポンジマットの上で寝て、ビッグドッグの学生時代からのガラクタで暮らすのもいいのだ。
古いTシャツは気持ちいい枕カバー。大昔、パイが入っていたアルミのプレートは今でもお皿として使える。
毎日、ボロを着ていてもどうでもいい。オシャレは町の男たちに任せよう。