Sunday, August 31, 2008

厨房の独裁者

昔、昔、外国から友人たちが遊びに来た時、カップルの女性の方が「何か手伝う?」とキッチンにやってきた。
「じゃあ、ピーマンを切ってくれる?」
彼女にピーマンのザルを渡した。すると、彼女はピーマンをそのままぶつ切りにし、返してくれたのだ。洗ってもいなければ、種もそのまま。実にワイルド。
あらら、と思いながらも、私はそのままピーマンを炒めた。

それからか、お客様はお客様。手伝わないでいい。いや、手伝わないで欲しい。

映画のシーンでもお馴染みかもしれないが、アメリカ人のホームパーティはとてもカジュアルなのが多く、そういう時はキッチンでみんなでわいわい、おしゃべりしながら和気あいあいと料理をする。それがパーティの楽しみの一つなのかもしれない。だけど、私はがんとして手伝わせないので、まわりから「キッチンのヒトラー」なんて言われたりする。彼らにとって私は嫌な女、ワガママな女、ラーメン屋の頑固オヤジのような女なのだろうか。

でも、みんな料理の腕もまちまちだし、使う素材も違っていたりすると説明だけで時間がかかってしまう。限られた時間でたくさんのアイテムを作ろうとするから余裕がなくなるのだろうが、キッチンをウロウロされるだけでもウザい。
「じゃま、じゃま、じゃま~~~!」
日本に比べて何倍も広い厨房だが、「手伝っている」友人が障害物になってしまう。

親しい友だちはもう諦めているが、始めての客は必ず「じゃあ、後片付けは私たちね」と強引になり、ワガママだが気が弱い私はそこで折れてしまうのだ。

でもね、ここだけの話だけど、彼らが見ていない時に洗った皿などを再度チェックし、汚れをみつけ洗い直す私だ。自分でも「なんて嫌な奴なんだろう」と思ってしまう。もっとレイドバックになれないものだろうか?

Tuesday, August 26, 2008

ただいま

牧場を離れるとなぜか心が落ち着かなくなる。急に心配性になり、ほとんどあり得ないシナリオで頭がいっぱいだ。
もちろん、牧場のことが一番気がかりで「家の電気系統がショートして家が焼け跡になっているんじゃないか?」「庭や畑が乾涸びているんじゃないか?」と悩むだけでなく、年を取っている親のことから後のばしにしてしまっているあれこれのことなどで不眠症になってしまう。

精神を安定させるのに、毎日、何度も「right here, right now」とお経のように唱える。「今」と「此処」以外のことを考えても無駄だ。何もできない、変えられないことを考えてもしょうがない。

でも、不思議なことに、牧場に戻るとそんな呪文さえも必要ないのだ。今、ここにいるだけで幸せを感じるからだろう。今週末も客の嵐だったが、ストレス・フリーの毎日だ。そして、客が帰った後の牧場。当然のことのように静けさの中からキツネが現れる。私を見かけると林の方に走っていくのだが、ふさふさの大きな尾っぽがなんとも愛らしい。(もちろん、鶏小屋の近くで目撃したので、逃げた後、鶏をチェック!幸い、彼女たちは大丈夫だった。)午後、買い物から帰ってくると小川のところにはボブキャットの子供が。

「今」と「此処」以外のことはどうでもいい。「今」と「此処」が完璧だから。

Friday, August 15, 2008

お盆休み

今月から牧場は客の嵐で私は旅館の女将化。でもこの女将は女中、板前、調理師、庭師でもあるのだ。

他人のケアで忙しく、自分のことなんてどうでもよくなっている今、自分のことを書く余裕もなし。ということでブログもちょっと夏休み。1週間くらいしたらまたチェックしてみてください。

Wednesday, August 06, 2008

なんとなくパニック

去年もそうだったな。
「まだ~?」と首を長くして待っていると突如と襲ってくる。豊作が。

桃とネクタリンも「あともう少し!あともう少し!」と待っている間は完熟していない桃でも牧場の住人や彼らの友人たちがいっぱい取っているのを見ちゃうとケチな私は「チッ、誰の果物だと思っているんだ!もう少し遠慮しろよ~」なんて心で思ったりするのだが、完熟して樹からドサドサ降ってくると腐る前にどうにかしないと!とパニックになってしまう。

毎日のフルーツ系デザートにビッグドッグもちょっと飽きてしまい、昨夜はクルミのお菓子にしたが、今朝も桃畑からバケツいっぱいの桃を拾う私だ。さあ、どうやって使うか。これが腕の見せどころ・・・な~んちゃって。

ローズとジョンの見事な野菜畑もサマー・スクワッシュ(ズッキーニなどの夏の瓜類)が豊作で、みんなに押し付けるのだが、美味しそうなトウモロコシは不作なのか1本も貰えない。その上、コンポストからもボール型ズッキーニのようなものができていて、これも美味しいけど、瓜類ばかりだとどうしても飽きてしまう。桃はまだジャムなどにして保存できるが、瓜類はそうはいかない。あと数週間もすれば、どうでもよくなり畑で腐らせてしまうだろうが、今はまだ焦って・・・いや、がんばっていろいろなズッキーニ料理に挑戦している。
フリッター、重ね焼き、グリル、煮物。詰め物、スープにサラダ。

「去年はあまりにもサマー・スクワッシュを食べたので、夏の終わりには見るだけでウッとなってしまったのよ」と先日ローズは言った。
「でも、今年もたくさん作っているのね。」
「何ヶ月も食べないと忘れちゃうみたい。春頃にはすっごく食べくなってしまうのね。だからいっぱい植えちゃったのかも。」

ズッキーニのバーガー、ピザ、サンドウィッチ。レリッシュ、パンにケーキ。
ああ、でもどうやっても瓜は瓜なんだなぁ。


去年のジャムやソースのラベル。今年も作る?