Wednesday, September 17, 2008

巣立った後

動物ドキュメンタリー大好きな私はもちろん鳥類のドキュメンタリーもたくさん楽しんできたが、あの鳥の巣はまさに傑作だと思う。芸術性、エンジニアリング、精神力。どこを見ても感動してしまう。本能と欲望がうまく結合しての結果なのだろうが、ある種の鳥はオスが巣を作り、その善し悪しでメスがよりつくそうだ。女性を惹くためにオスは一生懸命素材を入手するのだ。どこからか。柔らかな物。頑丈な物。弾力性がある物。などなど。それを根気よくチュッチュ、チュッチュと編み込み、メス鳥が「あ~ら、こういう巣で私、タマゴ産みたかったわ~~~」というような巣を目指すのだ。テレビのドキュメンタリーでは決まって「残酷な動物社会」が描かれる。ここでは気に食わないメス鳥が「へん、何よ。こんなゴミ溜のような巣に私を呼ぶつもりだったの?」と言わんばかしにオスが一生懸命作った巣をガッと強いくちばしで突き、壊すシーンだ。

私も鳥の巣にチャレンジしたことがあるが、私には無理だった。どう頑張っても出来上がりは惨めな代物だった。ああ、もしオス鳥だったら子孫を残せないフォーエバーシングルなのだろうな。

不思議なのは、鳥の巣は子供を育てるためのもので、一旦巣だってしまえば、どんなにゴージャスな巣でもどうでもいいものになってしまうことだ。我が家の軒の下にはいくつもの放棄された鳥の巣がある。強力なリサイクラーである私は「根性のない鳥が利用するかも」とそのままにしているのだが、鳥社会は人間社会より遥かに厳しく、自分で巣を作れない奴らは子孫を残す権利がないようだ。いくらたっても、一羽も入居しないままだ。

先週末、ビッグドッグの姪っ子がぴっかぴかの一年生として牧場から遠くない大学の寮に引っ越してきた。キャンパスは彼女のようなティーンと彼らの両親、それぞれの車やトラックなどでごった返していた。10代の息子のために巨大なテレビを担ぎ、坂をのぼり、寮の部屋まで運ぶお父さん。これ、6ヶ月分?と聞きたくなるほどの食料を運び込むお母さん。そして、子供との別れを忍ぶ親たち。姪っ子の両親も例外ではない。

「たぶん、帰り道、ずっと泣いているよ」というビッグドッグ。その週も何度も大泣きをしていたらしいが、週末はそのクライマックという感じのテンションだった。
「で、家に帰れば、もっと寂しくなるんだろうね」空っぽな巣ほど寂しいものはない。

子育てのために巣を作り、飛び出した後は親も巣を捨て、新しい、自由な旅に出る親鳥。人間もそうすればいいのにね。

Wednesday, September 03, 2008

一生使おうと思うものは大切に

若い時はそんなことなんて考えもしない。いくつまで生きるとかも。
だいたい長寿はあまりかっこよくない。流星のごとき人生が美化される時代だ。

でも、歳とともに考え方も変わるものだ。今の私にとって長寿はとてもかっこいい。正しく、賢く生きている証拠だ。(もちろん、私がいう「長寿」は単に年齢的なものではなく、ちゃんと心身ともに健康な状態のことをいっている。)現在の私の「目標」は120歳。

しかし、そうなると内蔵も骨や筋肉、皮膚なども120年間以上維持しなければならない。スペアがあればいいのにね。
ああ、若い時もっと皮膚を大切にしておけばよかったのに、と後悔している。あんなに真っ黒になることなかったのに。今ではサンスクリーンは欠かせない。
そして、歯科医での6ヶ月点検とクリーニングも欠かせない。

何でもちゃんとメンテナンスをしていると長持ちする。幸い人間の体もそうだ。
だから誕生日の今日、高級スパリゾートでボディトリートメントの方が楽しかっただろうが、自分へのプレゼントは歯科衛生クリーニングだった。