Tuesday, November 30, 2010

ナチュラルボーン・ドライバー&ジェダイ・ナビゲーター 大都会編


昔はよくメキシコでロードトリップをしていたが、前回もその前も旅をしなかったので、今回は久しぶりにレンタカーを借り、グアダラハラ方面へ向かった。

ビッグドッグは大都会が苦手なので今だに私はメキシコシティに足を踏み入れていない。しかし、グアダラハラの南にテラケパケとトナラという町があり、5年前この地域を訪れた際にユニークな家具や装飾品、民芸品などが集まっていることがわかった。

「やっと牧場の家にもちゃんとした家具を入れることにしたの」と東京にいる友人にメールした。「今までずっと人のお古や粗大ゴミから集めたものばかりで間に合わせていたから、なんだか新品を買うことに抵抗を感じちゃう。エコじゃないよね。」

グアダラハラと我が漁村は国道80号で結ばれている。だが、この道は途中で険しい山道になるため、グアダラハラへ直行するなら国道54号の有料道路の方がラクだとか。今まで有料道路を避けていたビッグドッグなのに、何故か今回はこのルートで行く気になっていた。

「何故、有料道路を使おうと思ったのか、分かんないよ。」2番目の料金所が近づくとブツブツ文句を言い始めるビッグドッグ。道路工事中の個所で渋滞にはまるとだんだん声が大きくなる。

「最悪!これで有料かよ!無料道路の方が速いじゃん!第一、有料道路なのに1車線?前にノロノロのトラックがいたら、もうそれでダメじゃん。信じられない!」

私には「有料」である意味がわからなかった。脇を通る無料道路の方がすいすい進んでいる。でも、メキシコの交通事情には訳のわからないことばかりで、都会に近づくと酷くなる一方だった。幸い、我々は日本の渋滞になれていた。

一つ、改善されたのは大道路の仕組み。大きな交差点ではオーバーパス(陸橋)がアンダーパス(地下道路)になっているので交差点での混雑が少しだけ緩和された。でも、道がわからないとどんどん先へ進んでしまう。

「やばい!そこで曲がるはずだったかも。(何しろろくな地図もないので、何も断言できない!)外側のレーンに移動して!ラザロ・カルデナスで右折できるかも。」

ビッグドッグがナチュラルボーンドライバーなら私はナチュラルボーン・ナビゲーター。どんな国のどんな場所でも目的地まで案内いたしますわ。と、自信満々なのだけど、、、大道路のみ記されているラフな地図しかないと、、、ナチュラルボーン・ナビゲーターでは無理だ。「フォース」が使えるジェダイ・ナビゲーターじゃないと。

街の道はちょこちょこ名前も変わってしまう。フランシスコ・マデロ通りを走っているかと思うといつの間にかイダルゴになっている。人名に由来する名前も多く、それがやたらと長い。街角には省略された名前しか表示されていない。表示されていればのことだけど。(余談だが国の記念日に由来する名前もポピュラーだ。5月5日通りや11月20日通りなどなど。)一方通行も多い。狭い道も。歩道がなく、道にいっぱい人が歩いている道も。一つ間違えると、普通の道がとんでもない場所へ向かう高速道路になっていたり。Uターンする場所もないので10キロも15キロもどんどん先へ走るしかない。「ザ・フォース」なければどこにもたどり着けない。

しかし、フォースにも見捨てられることもある。

「うっそ〜〜!メキシコシティ行きの高速道路になってしまう!!!」大パニックのあまり大声で叫ぶ。普通の街の普通の交差点をまっすぐ行っただけなのに、気がつくと高速道路のオンランプだ。
「どうして欲しいが言え!」ビッグドッグも叫ぶが、幸い、叫びながらオンランプの途中で強引にUターンし始めている。両方から車がかなりの速度で向かっているのに。
「すげえ。ちょっと尊敬しちゃう。」新米ドライバーの私にはそんな度胸なんてないからね。

恐怖の瞬間はたくさんある。だけど、いつも愉快で楽しい。渋滞には必ず物売りがいる。新聞やキャンディ、1本づつ売ってくれるタバコ、サングラス、キリストやマリア像などなどが買える。窓ガラスを洗ってくれる少年もいる。ある晩、ある交差点で炎のバトントワラーがパフォーマンスを披露。私も彼らには数ペソ渡してしまった。そして、どこいってもトペというスピードバンプが待ち伏せている。

でも、次回は前もってちゃんとした地図を入手します。え?カーナビですって?ジェダイ・ナビゲーターにはそんなものは無用です。

Sunday, November 21, 2010

笑顔王国


あまりスペイン語が上達していないので相変わらず訳のわからない会話の毎日だが、何故かメキシコにいる時の方が北米にいる時よりアットホームに感じる。居心地がいいのだ。

アメリカではほとんど毎日、メキシコの麻薬組織による犯罪などの問題が報道されている。一昔前のコロンビアのように描かれている。だが、太平洋側の我が漁村は相変わらす穏やかだ。Muy tranquilo!

「町の人たちはかわいそうだよ」この町に住みついてしまったアメリカ人、デイブはいう。「観光客を便りにしている人も多いのに、急に減っちゃうんだもん。アメリカに戻ってどんなに安全か、アメリカの大都市よりどんなに治安がいいか、伝えて欲しいよ。」

「今までメキシコに来なかったアメリカ人は私たちが何を言っても来ないよ。」

残念なことだ。いろんな国をまわったが、メキシコほど暖かくよそ者を歓迎してくれる場所はないからね。東南アジアの国々も「笑顔の国」とか「笑顔の島」なんてPRされるが、結局はアジアだ。観光収益を求める目が笑顔の中からもチラチラ見えてしまう。だけどメキシコには金儲けなんてどうでもいい、という空気が漂っている。

もっともっと大切なものがあると皆わかっているからだ。家族。信仰。音楽、踊り、笑いなど人生を楽しくするすべてのもの。

私もここにいると楽しい病にかかってしまい、毎日がハッピー。汗だくの日も、アパートの水が出なくてシャワーできない日も、怪しいモノを食べてお腹がピーピーでも、心はハッピー、ハッピー!

Thursday, November 11, 2010

溶ける時間








すべてが溶けていく
ダリの気だるい時計のように
ではなく
夏の歩道の上のアイスのように
サラサラサラ

何時?
何日?

ああ
ラ・バイーヤに戻ったぞ