Tuesday, June 02, 2009

パンパンパンパ~~ン!

自然の神秘は不思議とシンプルなところにある。
精子と卵子。
種と水。

単純な素材からなる様々なモノ。

例えば大豆。奇跡の豆のようにいろんなモノに変身できる。塩を追加すれば醤油や味噌に。ニガリを入れれば豆腐や豆腐製品に。

西洋の食卓のマジックはパンにある。小麦粉、水、塩だけでパンが出来てしまうのも奇跡だ。
どうしてもパリのパン屋さんのパンが食べたくて去年の夏、取りかかったパン作りチャレンジ。自然発酵のタネがどうもうまく育たなく、結局はどのパンも市販のイーストで作るパンだった。でも、今年はもう市販のイーストは卒業だ。

去年の年末、ナンシー・シルバートン著書「ラブレアベーカリーのパン」を古本屋で見つけた。かなりシリアスなパン作りの本で、彼女の自然発酵菌のタネを作るのに14日かかる。小麦粉も大量に使う。しかも、その大部分は捨てなければならない。フルーガル・ドッグは食料を捨てることに抵抗がありすぎるので、彼女の本を一応読み、頭に入れたら(いつものごとく)自分流にやるしかない。

自然酵母菌のタネが育つのを待っている間、友人がシェアしてくれた「捏ねなくていいパン」を作ってみることに。

これはとても簡単だ。
市販のイースト(大さじ1)を水(2カップ)に溶かし、小麦粉(4カップ強)と塩(大さじ3/4)を入れ、スプーンでよく混ぜる。プラスチックラップでボウルをカバーし、一晩そのまま寝かせる。次の日、パンの生地を二分し、ボール状に丸め、上に切り込みを入れ、華氏450(摂氏230?)のオーブンで焼くだけだ。(ベーキングシートにコーンミールを降ったり、パンの表面に小麦粉を軽く降ったり、パンをオーブンに入れる前に霧吹きで表面を湿らせたり、オーブンに霧を吹いたり、、、とバリエーションはいろいろだ。)

私のは一晩寝かせ、次の日も一日ダラダラと遊ばせ、夕飯時に起こし、焼いた。今まで作ったパンの中で一番美味しいパンが出来上がり、大感激!

しかし、そこでチャレンジが終わらないのがキッチンおたく。まだ14日間の自然酵母菌スターターがあるのだ。ということで、それ以来、二日に一度はパンを焼いているバッドドッグだ。シルバートンのパン作りをそのままやっていれば、何度も実験しなくてもめちゃくちゃ美味しいパンが出来ていたのかもしれないが、文字通り手順を守れないのもバッドドッグの悲しい性なのだ。幸い、自然酵母菌は使えば使うほど逞しくなり、どう詳細を変えてもオーブンから出てくるパンはみな美味しい。

「わ〜〜〜、パリのパンにとても似ている〜〜!」
昔は「パリはパリの水とフランスの小麦粉からできるから他では再現できないのだ!」と確信をもってみんなに言っていた私はやっぱり嘘つきだった。

牧場近辺には私が求めるパンがなかったから作るようになったのだが、今ではパンの味は二の次だ。私を虜にしているのはパンの魔法。「アブラカダブラ〜」のマジックではなく、自然のリアルでもっと神秘的なマジックに魅了されてしまった。

さあ、美味しいパンには、どうしても美味しいチーズが欲しい。(美味しいチーズは地元のお店で買えるが、、、)次のチャレンジはチーズメイキング?まずはヤギを数匹買って、、、